M.Kの写真

インド中の港を探し歩いた

若者は、アメリカの

物流改善へと飛び立った。

生産管理・物流

車両物流部

M.K

経済学部卒 2003年入社 もともと海外志向が強く、世界で渡り合える会社に入りたいと思っていました。最後まで迷ったのは商社。トヨタに決めた理由は、お会いした先輩社員の誰もが「このままじゃダメだ」と現状に安住しない危機意識を持っていたから。そのような環境に身を置くことで自分自身も常に成長していけると感じ、またそういった一人ひとりのパワーが結集している会社だからこそ、世界で長きにわたって信頼されるブランドをつくってきたという凄味と醍醐味を感じたからです。

インドから完成車を輸入せよ

物流とは、読んで字のごとく、物の流れ。材料や部品を仕入れ、工場でクルマをつくり、販売店からお客様へとお届けする。この一連を、まるでさらさらの血液のように、よどみなく流すために、問題点を見つけ、改善していく。それが物流の仕事です。 私が担当する車両物流は、完成したクルマを工場から世界各国の基点となる港まで運び、物流拠点から地域の販売代理店、販売店、そしてお客様までタイムリーにお届けすることがミッション。したがって、現場をこの目で確かめ、現地の人たちと一緒に改善を進めるために、世界各地を飛び回っています。 入社5年目にはシンガポールやタイの現地法人に駐在。インドから完成車を輸出させるプロジェクトに参加しました。私の担当は、現地スタッフとともに、完成車を輸出できる港をインドで探し出すこと。環境やアクセスなどトヨタ車を確実に輸出・船積するための評価項目をチームで決めて、主要な港をマッピング。7つに港を絞り、現地を見て回りました。しかし、鉱石や塩の輸出港が多く、「こりゃ、クルマはおろか、働く人にも厳しいなあ」という場所ばかり。悩みましたが、ないものはない。だったら造ってもらおうと考えて、港湾開発の将来計画を探ることに。各港の港湾局を相手に交渉開始。相手は港湾局長クラス、こっちは5年目。もう開き直ってやるしかなかったです。ある日、現地の新聞に交渉シーンが掲載されて「やばい、余計なことしゃべってないよな」と、どきどきしたのと同時に、地元経済のトヨタへの期待の大きさを肌で感じました。最後の契約は現地スタッフに任せて帰国しましたが、無事に2012年4月に新しい港から“Made in India”のトヨタ車を積んだ初船が無事に出港したと聞いて、とても感慨深かったです。

「帰れと言われるまで、

やりきってこい」

2009年、世界はリーマンショックに沈みました。トヨタもその波に飲み込まれ、特にアメリカでは新車の売れ行きが厳しかった。アメリカは中国に次ぐ巨大市場であり、レクサスやカムリなどを中心にトヨタは高い評価をいただいています。厳しい環境でもお客様にトヨタを選んでいただくため、もう一度原点に返って、お客様のために何ができるのか考えるべく全社でのプロジェクトが発足。私たちは、物流の観点から見直しを始めました。 アメリカは、店頭に並んでいるクルマを買う国であり、わざわざ店にないクルマを待ってまでオーダーしないと言われてきました。本当にそうだろうか。地道に販売店をまわり、お客様の声に耳を傾ける中で、どうやら一概にそうとも言い切れないとわかってきました。「オーダーから納車までの時間が長い」「販売店の皆様にも、いつお届けできるかタイムリーにご案内できていない」。耳にした多くの不満は、トヨタのクルマへの期待そのものでした。このままでは、まずい。今、手をうたなければ、お客様や販売店の信頼を裏切ることになってしまう。 危機感の高まる中、大規模な改革プロジェクトがスタート。私は、アメリカの物流センターの改善に挑むことになりました。“物流センター”は、日本から輸出した新車を保管し、オプションの取り付け作業を行い、点検後にアメリカの販売店へと送り出す配送機能の中核。しかし「販売店に、期日通り完成車を届けられていない」という大きな課題があったのです。その納期短縮と精度向上が私のミッション。チームリーダーは初めて。物流センターの改善も経験なし。ヒントはくれるが、答えは誰も教えてくれない。やれるのか、おれ? 現地法人からは「現地に問題はない」と警戒心も感じとったが「帰れと言われるまで、やりきってこいよ」。私の心を見透かしたように、役員から声をかけられました。やれるまで帰ってくるなということか。無駄なく、売れるスピードでつくる、世界に名だたる“トヨタ生産方式”を生み出したトヨタ。工場を出た後の物流で納期をコントロールできなくては意味がない。よし、やってやろう。強い決意のもと、私はニューアーク(ニューヨーク近郊)へと旅立ちました。

今日必要なクルマが6割しか

完成していない

意気揚々と向かったニューアークの現場で待っていたのは、手荒い歓迎でした。ガムを噛みながら睨みつける。テーブルの上に足を投げ出しながら話を聞く。とんでもないとこに来ちゃったなあ、と緊張しながらも、まずは現場を歩き、現状を調べることから始めました。 開けてびっくり。見た目は1日の計画台数を達成しているが、今日オプション装備を完了すべきクルマが後回しで、明日つくればいいものに手をつける。オプション取り付け前のクルマの待機場所は、入り乱れて渋滞を起こしている。理想とはほど遠い、混沌とした光景がそこにはありました。結果、その日完成させる目標台数の約60%しかできていない。なんでこんなことになっているんだ? 私は、毎日現場を回り、みんなの困りごとを聞き、作業をひとつひとつ確認し、課題点を洗い出しました。わかったことは、現場の人たちもサボっているわけではなく、懸命にやっているということ。ただ、やり方が個人任せ。待ち時間をつくらないために、明日作業予定のクルマに手をつける。それぞれが都合のよいクルマを勝手に保管倉庫から出してくるから待機場所が渋滞を起こす。などなど。 なるほど、原因は見えてきた。どの1台から、どの作業をどんなペースでやればよいのか。そこを整理して仕組み化すれば、スムーズに流れるのではないだろうか。私は、現地のチームメンバーと議論し、日本にいる上司に相談やアドバイスをもらいながら、小さなトライアルを積み重ねました。そうして、ついに「必要な1台をよどみなく流す」「一人が単作業するだけでなく、多能工として活躍できるようにする」などトヨタの生産方式の考え方に基づいた改善策が完成。これしかない!あとは、現場の人たちに受け入れてもらえるかどうかだ!

ブーイングから、拍手の嵐へ

胸の高鳴りとともに、いざ現場への説明ミーティングへ。案の定、話し始めたとたんにブーイングの嵐。「なんで変える必要があるんだ」「俺たちはきちんとやっている」。さすがに資料を持つ手が震えました。ただ、真摯に話をしていくうちに現場の人たちも日々の仕事に責任を持って取り組んでいて、それが故にこれまでと違う方法に変更することを恐れているとわかってきました。「この方法で、きっと皆さんの作業もスムーズになる」「結果、お客様のご期待にお応えできる」。粘り強く説明を続けるうちに、私の話を横で頷きながら聞いていたアメリカ人の拠点長が机をバンと叩きながら言いました。「ごちゃごちゃ言うな。一度やってみよう。だめなら俺が責任をとる」と。 翌朝からトライアルが始まりました。絶対うまくいくはずだ。自信満々に始めたところ、現場から呼び出しが。作業する車が供給されず、現場が止まっていました。予想外だ、やばいぞ、何がおかしい?背中に冷たい汗をかきながら、今一度詳細を見直してみると、単純な計算ミスが発覚。修正を行い、再度トライしたところ、今度は驚くほど順調に回りだしました。前日まで混み合っていた待機場所のクルマもほとんどない。1台1台がスムーズに流れていく。理想に近いその光景に一番驚いたのは、何を隠そう私でした。こんなにうまくいくなんて。現場を歩いていると、あんなに辛辣だった彼らが駆け寄ってきます。「すごいよ!」「やったな!」と、握手を求めてくる。驚きと同時に、うれしさがこみ上げてきました。これぞ、改善の醍醐味。そして、私を信じてサポートしてくれた拠点長の決断に報いることができて本当によかった。 その日を境に、当初は予定の60%しかできなかったクルマが、100%近く完成するようになり、販売店への輸送も計画通り進むようになりました。一度うまくいけば、信頼は高まる。そこは合理的なアメリカという国。「おい、マサヒロ。もっと改善ネタはないのか」「何でもやるから、言ってくれ」と、まあ、大変な変わりよう。この取り組みと成果が噂となり、ほかの物流センターからも声がかかり、最終的にはアメリカの現地メンバー自身の手によって標準化され、他に10カ所ある物流センターへ改善の輪が広がっていった。「少しでも早く届けてほしい」。そんなアメリカのお客様や販売店のご期待にお応えする一助になれたことが、私の大きな自信になりました。 「お客様にご注文いただいたクルマを、より早くお届けするために、最も短い時間で効率的につくる」。先人たちがつくり上げたトヨタ生産方式と概念を、モノづくりのフィールドだけでなく、商品の開発、原材料の仕入れからお客様への納車まで全てをフィールドと捉え、実践していきたい。私の挑戦は、まだまだ始まったばかりです。

生産管理・物流とは

売れるクルマを売れるタイミングで売れるだけお客様に供給する司令塔。 KAIZENという言葉は海を渡った。世界に誇る、トヨタの競争力の秘密が、ここにあります。

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