N.Oの写真

よりよい世界の実現に向けて

──根っからのシステムアーキテクトが

挑むトヨタの内製化。

コネクティッド/制御電子

N.O

電機メーカーで約20年勤務した後、トヨタ自動車にキャリア入社したN.O。現在コネクティッド先行開発部InfoTechを含め3つの部署を兼務し、開発をリードしています。現在N.Oが推進しているのは、トヨタ内での内製開発。その信念やこだわりについて、N.Oが胸にある思いを語ります。

OSへのこだわりと探求。

トヨタとの出会い

私がトヨタにキャリア入社したのは2020年のことです。 記憶を遡ると小さい頃からコンピュータに興味があり、どうやって動くのかという仕組みを深堀りすることに関心を持っていました。高校の進路を検討するころにはすでに、現在のようなコンピュータに携わる職業に就きたいと決意。OS(オペレーティングシステム)がどうなっているのかをずっと調べては試す……を繰り返す学生時代でした。 大学院まで進んで学んだ後、今度は「製品に使われるOSを実際に自分で開発したい」という思いを胸に、就職活動を始めました。ちょうど独自でOSを開発している企業に出会い、電機メーカーに入社。結果、約20年間勤めました。 はじめは私が希望していた部署に配属になりましたが、社内事情によって部署が解体、異動を命じられたこともありました。ですが、やはり「OSの研究開発」こそ自分がやりたい仕事だと強く思っていたので、何度も人事や所属のセンター長に掛け合い、思いを伝え続けた結果、開発チームへの異動ができたという経験があります。会社員といえども、自分のキャリアは自分で作るんだ、と強く感じたのはこのときです。

そんな紆余曲折もありながら、さまざまなOS周りの開発を続けてきたのですが、ちょうど入社して20年ほど経ったとき、これまでの自分のキャリアの棚卸しといいますか、入社してからを振り返り、改めて自分の市場価値がどのくらいあるかを知りたくなったのです。別のフィールドで戦ってみたいと思うようになりました。 そこでいろいろな情報を収集していたある日、ジムでランニングをしている最中にキャリア採用ページを見ていて、かつての上司が書いたと思われる募集を発見したんです。「すべてのクルマをコネクティッド化するための、モビリティサービスプラットフォームをつくる」──これがトヨタの募集でした。 すぐさま連絡して話を聞いたところ、これまでの経験を活かしてさらなるチャレンジができる業務内容であったこと、また自分が持っている技術を活かして社会課題の交通事故を減らすなど、なにか社会の役に立てるかもしれない。そんな視点もあり、応募を決めました。 実際にトヨタへ入社してからは、これまでの経験と知識をもとに、高品質なソフトウェアをタイムリーにリリースしていくための開発プロセス・ワークフローのリファレンスとなるべくプロジェクトを主導しています。自分の強みを活かし、今の業務に貢献できているかなと思っています。

複数の業務を同時進行する中でも、

常に最良で最善の結果を出す手腕

現在は、3つの組織に所属しています。メインとなる1つめが、コネクティッド先行開発部InfoTech。約100名の研究者や技術者で構成された部署で、自動運転の肝となるICT基盤などの研究開発を行っている部署です。 この中で、「CASE(ケース)」の「C」にあたるConnected(コネクティッド)の先行開発部分を担当し、コネクティッドカー向けOSの研究開発を立ち上げました。 これまで様々な部署でバラバラにつくられ、プラットフォーム化されていなかったものを、ゲーム開発におけるゲームエンジンのように、共通で使えるものをプラットフォーム化し、価値を生むアプリケーションやサービスに注力できるようにしています。また、よりスピーディーかつ高品質なソフトアプリケーションを市場にリリースできますし、フィードバックを受けてさらなる良いものをつくり上げていくことができます。 2つめがOTA(Over The Air)推進室。入社のきっかけとなった前職の上司から声をかけられ、兼務することになりました。そして三つめが、旧TRI-AD、現在のウーブン・アルファで、ここでもOTAのソフトウェアアップデートに関する開発に携わっています。 基本的に参画しているどのプロジェクトでもアーキテクトとして仕事をしていますが、アーキテクト兼プロジェクトマネージメント兼テックリードの役割を担っているのが実情です。 主として携わっているコネクティッド先行開発部では、現在2つのプロジェクトを進めています。一つがコネクティッドカーやモビリティなど、スマートシティ向けの分散リアルタイムプラットフォームの先行開発。もう一つが、ソフトウェアアップデートの要素技術の先行開発です。 グループメンバーは若手が多く、新卒よりもキャリア入社者が多いのが特徴です。ソフトウェア開発の経験を持って集まったプロ集団なので、技術も意識も高い。そういった環境においても、さらに改善を続けていき、一定期間の開発を終えたら必ず振り返りをする、このことをグループ内で徹底しています。 同じ失敗を繰り返すことほど効率が悪いことはありませんし、スケジュール通りリリースすることも難しくなります。そのためには、振り返り、改善は必須です。そして、世間の技術動向などもチェックしながら、良いものは積極的に試して取り入れていくことを共通認識としています。 もともと高いスキルを持ったメンバーですが、全世界のどこででも通用するようなエンジニアになってほしい。市場価値の高いソフトエンジニア集団を目指しています。他社から優秀なエンジニアが入りたい、ずっといたいと思ってもらえるような組織になりたいですね。

社内の課題を見つけては改善。

ゆくゆくは会社全体を

変えていく布石に

トヨタに入社して驚いたのは、さまざまな開発を他のベンダーに委託しているケースが多く、内製開発が少ないということ。外部に委託して開発を進めるのと、内製で進めるのでは、開発速度・必要な予算が大きく異なってきます。 そこで、内製化を進めていくための開発プロセスやワークフローを今までの経験をベースに取り入れ、イチから体制づくりをしてきました。少なくとも、私が関わっているプロジェクトに関しては内製化を主にして、自分たちでつくり上げていくチームを形成しています。 そのほかにも、開発インフラが使い込まれていない、導入すべきものが入っていない等、ぜひとも改善すべきだと思ったので、こちらも実行に移しました。結果、私のチームについては、開発インフラを可能な限りカスタマイズ・新規導入し、開発PCも自由に選べるような体制へチェンジ、より効率よくストレスなく開発を進めるようになりました。 今後の使命としては、自分のチームでつくり上げてきたシステム設計手法や開発の進め方などを、社内に展開していくことでしょうか。調達や委託での開発ではなく、内製での大規模ソフトウェア開発、ソフトウェアファーストへの意識転換です。 3つの業務を兼ねているので日々忙しいのは確かですが、自分にしかできないことを求められるのは大変光栄なことなので、やりがいはありますね。その期待に、しっかり応えられているのであればさらにうれしいです。

モビリティカンパニーへの

変革に向けて

──開発の最前線を走り続ける

私の仕事のメインはシステムアーキテクトです。コンピュータシステムでモノをつくり上げていく中には、さまざまな要件や制約が生じます。それらの複雑な組み合わせを満たし、よりシンプルでバランスの取れたアーキテクチャに落とし込むことが重要だと考えます。 ただし、それを提案するだけでは評論家で終わってしまうので、各システムの中で有効に機能していることを証明するところまでが、アーキテクトの仕事です。プロダクトとして市場にリリースするまでには多種多様な問題や課題が出ますが、アーキテクチャやシステム全体への影響を考慮しながらひとつひとつ解決を主導していく。修羅場になっても逃げず、むしろ楽しむ。修羅場を経験した数だけ成長すると思うので。 一方で、課題も感じています。たとえば、先述した人材バランス。若手が多いという現状もあり、コーチングしていけるシニア層を厚くできたらと考えています。そのためにはキャリア採用の強化と若手の育成をしていきます。 そういう意味では、まずはコンピュータサイエンスの基本的な部分、そして高品質なプログラムが書ける人に仲間になっていただきたいです。私のチームで言えば、はじめは小さな規模でスタート、コンセプトやビジョンをプロダクトに落とし込んでいく段階で、ゆくゆくはおそらく数千人レベルの開発者を抱えることになる。開発者と一言で言っても、テストを行うエンジニア、開発環境を構築するエンジニア、リリースのエンジニアリングを担う人など、実にさまざまです。 これらすべてを、社内で内製開発できるような体制をつくり上げたいですね。そうすれば、今以上のスピード感を持って市場にリリースできるのではないかと考えています。 トヨタは、やはりクルマの開発・販売が主体なので、効率の良い移動手段を提供したり、交通事故、とりわけ死亡事故を減らせるような自動運転の開発を進めたりと、人々の生活をより便利により安心にするための技術を生み出していけるようにしたいです。 あとは欲を言うと、現状は個々のクルマを販売して利益を得ていますが、サブスクリプション的な手法で毎月利益を得る、リカーリング(継続収益)を生み出すなどのサービスで、クルマがある世界の価値を提供していく、そんなビジネスモデルに変えていけたらと思います。これらの野望に付き合ってくれる人がいたら、ぜひとも一緒に働きたいですね。

コネクティッド/制御電子とは

クルマが“つながる”ために必要な技術・機器や、“つながる”ことで実現・提供できる製品・サービスの企画・開発を行うコースです。また、ソフトウェアを先行して開発・実装する「ソフトウェアファースト」なモノづくりにも挑戦しています。

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