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「チームワークの意識がない?」

文化の壁を乗り越え

立ち上げた、中国新工場。

モノづくり

駆動・HV生技部

T.N

機械工学専攻修了 2000年入社 学生時代は、人工膝関節について研究。ドクターの理想・経験則の具現化に挑む中で、「すぐれたアイデアを世に送り出すには、すぐれた生産技術、つくる技術が不可欠」だと気づき、生産技術を志望。入社以来、トランスミッションの生産技術に携わり、現在は中国における新ハイブリッドトランスミッションのライン新設業務を担当している。

強い情熱と深い知識で、

スイス製の高級加工機を

上回れ

静音性が高いHVやEVが普及し始めると、トランスミッションから漏れる騒音の解消が必要になります。内部で歯車が噛み合う際の打撃音をどう抑えるか。そのカギを握るのが歯車研削盤という加工機。入社5年目の私が開発を任された設備です。当時、高精度の歯車研削盤はスイス製の高額なものしかなかったため、内製化し、コストを抑えると同時に、コア技術を手中に収めようというのが開発の狙いでした。 この開発を通じて私は、技術屋肌の厳しい上司から徹底的に鍛えられました。「自分でもっと深く考えてみろ」。当時よく言われた言葉です。担当者が一番強い情熱と深い知識を持っていないと、納得のいく技術は生み出せないというのが上司の教え。生半可なものをつくって受け入れられるほど、トヨタの製造部門は甘くありません。でも、技術的に深くやればやるほど、楽しくて、のめり込みました。論文を読み漁ったり、安易にサプライヤーさんに依頼せずに、自分で計算してつくってみたり。それに、やり込めばやり込むほど、味方してくれる方も増えていきました。技術的に助けてくれたり、反対している人たちを説得してくれたり。周囲の支えがあって、2年がかりで完成させることができました。最終プレゼンで、最後まで首を縦に振らなかった製造部長から「導入しよう」と言っていただいたときは、「よかった!」と大声が出るほど気持ちが高ぶりました。あとで関係者から聞いたのですが、製造部長は「あいつらは本気だから、反対しても導入するだろう」と笑っていたそうです。技術面や収益性だけでなく、最後は若い世代の本気度にかけてくれた。その決断に、胸が熱くなりました。

中国の新工場。

設備は完璧なのに、

生産数が伸びない!

歯車研削盤の開発から5年後の2012年、リーマンショックからのV字回復を狙うべく、市場成長著しい中国にトランスミッションの新工場を立ち上げることになりました。私はその生産準備グループのマネージャーを拝命。海外にゼロから工場をつくることは、長年の夢。大きな期待を胸に、6月、中国へ旅立ちました。 現地入りしてまず取り掛かったのは、発注や契約などの事務手続きに必要な書類の作成。本当に何もないところからのスタートでした。その後は、現地の工場を視察してまわるなど、半年かけて拠点をつくるための準備を行いました。2013年、現地で仕入れた情報やこれまで日本で培ってきた経験をもとに、生産ラインの設置に着手。設備を導入し、入念な動作確認を行うとともに、現地で採用した製造スタッフへ丁寧に技術指導。2014年7月、新工場は満を持して開業を迎えました。「やることはやった。いける」という確信がありました。ところが、生産数が思うように伸びません。新しい製造スタッフばかりなので、不慣れなところもあるだろうと考え、勉強会を開催するなど対策を立てましたが、それでも数が上がらない。その理由は、文化の違いにありました。

異文化に触れて気づいた、

トヨタ文化の大切さ

中国では、仕事は個人主義。自分の業務が終われば、他の人が困っていても帰宅する企業文化も珍しくない。一方で、トヨタの生産方式(TPS)は、工程の入り口から出口まですべて連携する、強いチームワークが前提で成り立っています。誰かが止まればライン全体が止まってしまうので、お互いに助け合わなければ生産数が少なくなるのです。文化の違いという根本的な問題に、特効薬はありません。日々のコミュニケーションの中で、自分たちの振る舞いによって示していくしかありませんでした。トラブルが起きたら、誰が悪いかではなく、原因を追求して、設備を使いやすくする。生産技術側が原因であれば、ミスを認めて頭を下げ、「きちんと直すから助けて欲しい」とお願いする。そうしたことの積み重ねによって、「どうして自分の仕事以外もやらないといけないんですか」という意見に紛れて「私やります」という声が少しずつ上がるように。職場に、チームワークが芽生えてきたのです。面白かったのは、生産数が伸びるにつれて、机や壁、床が綺麗になり、自分たちの職場を大切にする心が生まれていったこと。トヨタに入社して以来、ベテランの先輩社員に口酸っぱく言われた4S(整理・整頓・清掃・清潔)の教え。それまでは正直、心の隅では軽んじていた面もあったかもしれません。しかしそのとき初めて、本当の意味でストンと腹に落ちました。

文化が根付いてはじめて、

生産ラインは完成する

これまでは、ただクルマづくりのために生産ラインをつくっているという意識でした。しかし中国で気づいたのは、私たちがつくっているのは、生産ラインであり、現地で働く人たちにとっての職場であり、生活であるということ。彼らの生活がかかっているからこそ、設備だけつくって終わりではなく、彼らの人間関係やマインドをつくり、収益を上げる工場にしていかなければなりません。だから目標は、町いちばんの工場にすること。働く人がトヨタの文化に触れ、この工場で働くことが誇らしくなるようになってはじめて、その地域にトヨタファンが増えていく。結局、どれだけトヨタが世界中に事業を展開していようと、中国の工場の人たちにとって、トヨタとは自分たちの工場がすべてであり、その工場でつくられた一台一台が、その地域でのトヨタの印象をつくっていきます。だからこそ私は、中国の工場にトヨタの文化を伝え、一人ひとりをトヨタの従業員として育てていく。そこまでの責任があると感じています。

モノづくりとは

高品質な製品を安く迅速に作り出すトヨタ式の生産ライン、そのモノづくり現場最前線をリードする技術開発職種です。 日々進化するクルマのカタチを具現化するため、開発上流からつくり方を検討・開発する事で、理想への妥協なく、かつお客様の期待を超えるトヨタ品質のモノづくりをリードしています。 創業期から培ってきた確かなクルマづくりのノウハウとお客様の期待を超えるための飽くなき挑戦によって技術革新を続け、モビリティーカンパニーへの転身と移動の課題解決や住み続けられる街づくり(Woven City)への事業化に挑戦しています。

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