データサイエンスで始める
トヨタ変革への挑戦
カスタマーファースト
TQM推進部
A.I
データサイエンスで始める
トヨタ変革への挑戦
カスタマーファースト
TQM推進部
A.I
トヨタ自動車およびトヨタグループも巻き込んで、データサイエンス活用人材の育成に奔走するA.I。誰も答えを持たない時代に、誰一人取り残さず、みんなで「クルマ屋にしかつくれない未来」を実現するため、人と人をつなぎ続けます。これまでのキャリアを振り返りながら、仲間と共に行動することへの想いを語ります。
文系出身の分析屋、
日本の未来を想う
データサイエンスに出会ったのは2010年ごろ。文系の大学を卒業して銀行や保険、企業調査といった金融業界で10年近く過ごした後、遅まきのキャリアチェンジでITの世界に飛び込んでしばらくしてのこと、まだデータサイエンティストが「セクシーな職業」などと言われる前のことです。手探りから始めた事業でしたが、外資系IT会社などの協力を得ながら、小売・流通業界を中心に東海エリアのさまざまな業種・業態のお客様へのコンサルティングを行ってきました。
当時、さまざまなお客様と接して感じていたのは、企業内のデータサイエンス担当者は概して孤独であり、データサイエンスがなかなか普及しない原因もそこにあるのではないか、ということ。なじみのITパートナーもAIの事業化には二の足を踏む時代、誰にも相談できず一人で試行錯誤を繰り返すのが企業担当者の常でした。
衝撃を受けたのは2017年のこと。今も敬愛する前職の上司から紹介されて出席した国の研究機関が主宰する人工知能に関する技術コンソーシアムの会合で、企業のデータサイエンスの担当者とIT企業のメンバーが同じテーブルを囲んで同じAIの社会実装について対等に議論する姿を目の当たりにし、データサイエンス普及の前途に光明が見えたと心が躍りました。
その年のうちにコンソーシアムや官公庁、公共団体など多くの方々の力をお借りしながら、東海支部を立ち上げ、賛同してくださった30の企業の仲間と共に活動を始めました。活動を通して自社の抱える課題にデータサイエンスを適用する事例も生まれたほか、IT企業のメンバーにとってもユーザーのリアルなニーズに触れ、データサイエンス事業展開のヒントを得る機会になったのではと思っています。
しかし、企業内のデータサイエンス担当者だけが変わっても、企業のカルチャーはなかなか変わりません。本業のデータサイエンスのコンサルティングにおいても、私の声は支援した担当者までしか届かず、根本的にデータサイエンスを企業に根付かせることはできなかったのです。
また、データサイエンスを「効果があるから使う」という思考から「当たり前に使われなければ日本が沈む」という危機感に変化したのもこのころ。組織の中に本当の意味でデータサイエンスを普及・定着させていくためにはどうすればいいのか。周囲の迷惑も顧みず40歳も半ばの自分が今できることをやらなくちゃ、とつい思ってしまったのが2019年の春先。ここから日本経済を支える製造業が集積する東海エリアの産業界で、データサイエンスを当たり前に使うカルチャーを生み出す第一歩を踏み出しました。
時間も限られる中で少しでも実現に近づくためには、より多くの従業員がいて産業界に広くインパクトを与える会社で、中から行動しなければならない。その想いから、私はトヨタへの転職を決意しました。
待ったなしの
データ活用人材の育成。
企業にデータサイエンスを
根付かせるということ
入社当時、社内では世の中の動向に倣ってデジタル化や機械学習・AIなどのデータサイエンスの必要性が叫ばれていました。2021年の労使協議会の場で「この3年で世界のトップ企業と肩を並べるレベル」のデジタル化をする、というトップの発言によって、私たちのデジタル化・データサイエンス活用推進に「期限」が設けられました。
その後は、デジタル化推進組織の新設やITツールの導入による働き方改革など、社内には本当に目まぐるしいほどの変化が生み出されました。ただ、こうしたハード面での整備が進む一方で、企業をカルチャーから変革するためには「人づくり」がいかに重要か、またこれがいかに難しいことかと改めて痛感しています。
現在私が所属するカスタマーファースト推進本部TQM(Total Quality Management)推進部は、もともと「トヨタ流仕事術」として知られるような製造現場における自工程完結やQC活動など、KAIZEN(カイゼン)の精神を全社業務に浸透させる総本山的な部署です。また、長年にわたってトヨタ製品の品質を支えてきた「データに基づく統計的品質管理(=SQC)」をDNAとして社内の隅々に定着させてきたのもこの部署です。「製品」の品質を担保するのが品質保証部門だとすると、人づくり・仕組みづくりを通して「業務」の品質を維持・向上するのがTQM推進部といえます。
そうした素地もあって、TQM推進部では新しい武器になりうる「機械学習・AIなどのデータサイエンス技術」にもいち早く目を向け、2015年ころから本格的に研修・実践支援・啓発などを通してデータ活用人材の育成に取り組んできました。結果的に、現在社内で機械学習やAIを駆使して現場の問題解決を牽引する多くのトップメンバーを輩出してきましたし、上述のインフラ面での整備において現在、中核になっている人材の中にもTQM推進部の育成プログラムを巣立っていったメンバーが多くいます。
現在、私はこのデータサイエンス教育の終盤(教育の後、現場に送り出すための研修)で多くの受講者を指導しています。このプログラムでは、大学の研究者に指導を仰ぐほか、グループ各社・各現場で先行してデータサイエンスでの問題解決に取り組むメンバーにも指導者として参画してもらい、毎年数百名のデータサイエンス活用人材を輩出しています。
ほかにも、社内のさまざまな現場でプロジェクトを支援しながらデータサイエンスを活用できる人材を育てる取り組みも行っています。たとえば、販売店やコールセンターから入るお客様の声から、クルマの各機能開発に役立つ自然言語処理技術を論文から実装する、工場での画像検知モデルのライフサイクル設計に参画するほか、各部署での導入方針策定のアドバイスをするなど、上流から下流まで現場を理解した上で話ができるデータ分析屋として、ほぼデータサイエンス何でも屋として活動しています。
当社にはまだまだ新しい価値を生むために取り組むべき課題も、活用しきれていないデータもたくさんあると思っています。いずれデータサイエンスについて語れる仲間がもっと増えれば、こうした宝の山を一緒に掘ることもできるのでは、と、個人的にはこの「人づくり」がとてもおもしろいチャレンジだと感じています。
みんなでトヨタを変えていこう!
当社には7万人強の仲間がいて、それぞれがそれぞれの課題に日々取り組んでおり、置かれた状況も千差万別です。入社後、「現地現物」の言葉通り数多くの現場でデータサイエンス活用・AI導入をサポートしつつ、彼ら彼女らの話に耳を傾け続けてきました。データ活用界隈でよく聞かれる、データがない、適用できる課題があると思えない、データを活用する環境がない、機械学習もよくわからない、おまけに職場での理解が得られない、という声はもちろん数多くありました。
ですが、それよりも「ほかに取り組んでいる仲間がいるかどうかもわからない」孤立無援の中で、一人ひとりが活路を信じてゼロからデータサイエンスに取り組んでいるという事実、そのハードルの高さ、その苦労が今も目に焼き付いて離れません。
こうした状況に触れ、私はデータサイエンスに関心があるメンバーを集め業務外で小さな勉強会を始めました。現在、その勉強会は社内の数千名を超える仲間が集うコミュニティに成長しました。誰も孤独になることなく、仲間とともにデータサイエンス活用に取り組める状況・環境に、少しは近づいたのではないかと思っています。
もっとも最近は「どうやってデータサイエンスに取り組むか」よりも「データを活用することでどう価値を生み出すか」をみんなで考えることの方が多いですが、誰一人取り残さず、みんなで前に進んでいくという方向性に、まったくブレるところはありません。
これとは別に運営している社内およびトヨタグループのデータサイエンティストが数百名集まるコミュニティでは、各社でデータサイエンスの推進・実践に携わる者同士の交流の場であるほか、異業種・学術界との接点を持ち職場・会社・業界を超えた視点で会社としてデータ活用人材をどう育てていくべきか、社会に対してクルマ屋のデータサイエンティストとしてどんな新しい価値を提供していくべきか、といったテーマでの議論を重ねているところです。
意志ある人が
ヒーローになる会社
入社して本当に驚いたのは、かなり多様で個性的な人材を受け入れるこの会社の懐の深さかもしれません。7万人もいるので当たり前と言えばそうなのですが、私は入社して以来、本当に個性的で素敵な方々と出会うことができました。
100年に1度の大変革期、誰も答えを持っていない中で、誰かのために「働き方改革のためのツールを普及させなければならない」、誰かのために「気軽に画像認識の検証ができる分析環境を整備しなくてはならない」、誰かのために「クラウドを安全に利用できるようにしなければならない」、こうした何人もの「意志ある人」がたった一人で始めた取り組みに仲間が集い、そしてどんどん会社を変えています。
前述の通り、データサイエンスに関しても、現場での画像認識による外観検査やIoTデータによる設備異常検知から始まったAI活用も、MBD(Model Based Development)やMI(Material Informatics)での応用など設計領域にも広がり、またマーケティング・需要予測などのバックオフィス系業務でもデータサイエンス活用の検討が進んでいます。
このように、あらゆる現場でデータサイエンスの技術を持った人材が求められるようになりました。もちろん、現場実装するための足回り・インフラ構築だけでなく、フロントエンド開発も含めて、かつてないくらいITスキルの重要性も高くなっています。誤解を恐れず言えば、データサイエンスに従事する者にとっても、また意志ある実践者の端くれにとっても、この会社は「大きなおもちゃ箱」のようにも思えます。
まだまだ自動車産業550万人のうちのほんの一部ですが、こうした仲間と共に、ここからさらに輪を拡げ、みんなで「クルマ屋にしかつくれない未来はこれだ!」と言える世界に少しでも近づいていきたいと思っています。
全世界で約1億台のトヨタ車・レクサス車にお乗りのお客様がいます。 そのお客様の声を聞き、「もっといい商品」と「もっといい体験」の実現を通じて、モビリティライフを豊かにし、お客様・販売店/代理店・地域の皆様に幸せになって頂くことを目指します。
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