Y.Iの写真

トヨタで見いだした

新しい価値観──独占しない

「知的財産の在り方」

クルマ開発

知的財産部

Y.I

2017年にトヨタ自動車へキャリア入社し、知的財産部で特許に関わる業務を担うY.I。現在はグループ長としてメンバーをまとめ、知財活用によるイノベーション創出にも挑戦しています。前職から知財に関わる仕事を続けてきたY.Iが、トヨタで新たに見いだした知財の在り方や活用の仕方とは。

トヨタの技術を知財の

観点から守り、チャレンジし続ける

私が所属しているのは、トヨタの知的財産部です。トヨタの技術開発によってもたらされた発明の特許出願や、その特許に関連する知財管理の業務を一手に担っています。各国での権利取得や他社との交渉を効率的かつ有利に行っていくことで、トヨタの事業を法的に守るのが私たちのミッションです。

知的財産部は仕事以外のコミュニケーションや取り組みも盛んで、全体として和やかであたたかな雰囲気があるチームだと思います。また、働く拠点は国内外それぞれにありますが、一人ひとりのライフスタイルに合わせられるよう配慮されており、国外ですと米国、欧州、中国など海外拠点で活躍しているメンバーもいます。現在はキャリア採用のメンバーも多く活躍しており、新卒・キャリア入社に関わらず働きやすい環境が築けていると思います。

その中で、私はIPアセットを管理するグループのグループ長を務めており、特許活用の面でITテクノロジーを活用した新たな手法を構築するためのプロジェクトを進めています。

トヨタは会社の規模が大きく、ブランドの認知力も高いため、その分知財の仕事が社会に与えるインパクトも大きくなります。中でもとくに難しさを感じるのは、レピュテーション(世評)に関わる部分です。

もしもトヨタが海外の大手企業と知財に関する裁判を起こしたとしたら、メディアで大きく報道されるでしょう。そうすると金銭的なダメージだけでなく、世評にも影響が出てきます。後者はどの程度経営のダメージにつながるかが予測しづらいため、対応には難しい判断を迫られます。

時には役員陣に意見を仰ぐこともあり、責任を実感する場面も多いですね。ただ、こうした規模の大きな局面においても、トヨタはチャレンジさせてくれる会社です。大規模な仕事に自らが携われているという実感は、やりがいにもつながっています。

知財を独占するのではなく

無償許諾するトヨタの姿勢に

衝撃を受ける

はじめて知財に興味を抱いたのは大学時代です。当時「知財立国宣言」や青色発光ダイオードの訴訟を通じて知財に注目が高まっているのを見て、知財に関わる仕事をしてみたいと思い、大手電機メーカーの知的財産部からキャリアをスタートしました。

ここで訴訟を含む知財関連の仕事の基礎を学べたことは、現職にも活きていると感じます。また、その後同社の事業戦略部へ異動したことも、実りある経験でした。事務所といった外部の立場ではなく、社内における知財のプロフェッショナルである私たちは、事業に貢献することを常に考える必要があります。そのため、知財の知見だけでなく事業の観点も持たなければ、どのような動きが事業に貢献できるのかわかりません。前職で知財、事業双方の視点を得られたことは、とてもよかったと感じています。

転職のきっかけになったのは、米国で開催されていたモーターショーに参加した際、トヨタのブースで特許の話を聞いたことです。モーターショーを見に行って、特許の話を耳にするなんてなかなかありません。そこでは、トヨタが莫大な資金を投じて発明した燃料電池に関する特許無償許諾の話がされていました。

それまで私は、特許とは市場競争のために使うものであり、技術を独占する、もしくは他社との特許交渉の武器として使うものだと捉えていました。一方トヨタは、技術を世に広める戦略をあえて選んでいたのです。考え方の一つとしてあっても、この規模で実施することは非常に難しいものです。私はこの判断に感銘を受け、イノベーションへの積極的な特許の活用を実現してみたいと考えていた自身の価値観とも合致するものだと思い、転職を決めました。

入ってからわかったことですが、無償許諾の判断の根っこには、自社の利益ではなく幸せの量産を重んじるトヨタの思想があると知りました。ある意味特許制度の目的にも近く、社会貢献と競争両立を考えながら知財の仕事に向き合えることは、自身にとって新鮮でチャレンジングなことだと感じられました。

プロアクティブにイノベーションに

貢献することで、知財活用の

道を拓く

トヨタに来てから3年目の時に、特許を中小企業に対して開放することで世の中に貢献するというプロジェクトを進めていました。そのプロジェクトの特許マッチングの一事例ですが、愛知県の部品メーカー様とご一緒させていただいた案件があり、印象的でした。

トヨタの技術をどこに開放すれば社会貢献につながるか、イノベーションが起こるかと考え、自治体を通じて中小企業の現状を把握するために現地に製品を見に行ったこともありました。さまざまな候補はあがるものの、中々進まないのが実態でした。その活動の中で前述の愛知県の部品メーカー様と出合い、その部品メーカー様がチャレンジして、トヨタの特許を基に、新しい部品を1年以上かけて開発していったのが主な流れです。

プロジェクトに携わることで感じたのは、作り手の情熱や想いの重要性です。新しいチャレンジをしたい作り手がいてトヨタがうまくパスを出せれば新しいものを生み出せる、という可能性を確認することができました。これまで自社の技術を守る視点での取り組みが多かったのですが、開放という方向性で新しいものを生み出せたことは、自身がやりたかったことを実現するための一歩を踏み出すことにもつながったと思います。また、トヨタの内か外かに関わらず、新しいものが作られ、それが誰かのためになるのならば、社会貢献につながると実感しました。

知財に関わる業務は、ともすると受動的になってしまいがちな一面もあります。発明を経て特許化する、あるいはトラブルが起きたらしかるべき対応をするなど、何かの事柄を起点に仕事が生まれるからです。そういった業務を通じて事業を守ることはもちろん大切ですが、今回のようにプロアクティブに動き、イノベーションのきっかけ作りに関わっていくのも私たちの大切な役割だと思っています。

変革期を迎えた業界の中で、

トヨタの技術をグローバル規模で

守り、活用していく

自動車産業は大きな変革期を迎えており、電気自動車や自動運転など、新しい技術が次々に生まれつつあります。クルマに対する幅広い技術活用に伴い、新しいプレイヤーも増えてきました。IT業界の大手テック企業の参入などもあります。こうした市況の中で、私たちはトヨタの事業を止めないよう守っていく責務があります。

これは知的財産部の腕の見せ所でもあります。新しい技術が生まれるからこそ、知的財産部はその技術をどのように守り、そして活かしていくか考えていく本領を発揮できます。目まぐるしく状況が変わっていくグローバル市場において、日本を代表する企業であるトヨタが、世界を相手にどのように事業を育み、技術を活用していくのか。こうした大きな課題と向き合いながら、私たちは今後も新しい取り組みにチャレンジすることになるでしょう。

また、こうした現状の中、競争だけでなく社会貢献という視点も大切にしていくのがトヨタらしさでもあります。ただ競合他社に勝てばいいという考え方ではなく、みんなの幸せにつながっていく形で知財戦略を立てていく。そんな向き合い方ができるのは、トヨタならではだと思います。

私自身はこれからも「知財を通じて新しいイノベーションに寄与したい」という想いを持ちつつ、主体的に動いていきたいです。そして、「チャレンジしたい」「新しい何かを作りたい」という熱い想いを持つ人と共に、それを実現していけたらとも考えています。

知財というと専門的な知識が必要な印象が強いかもしれませんが、資格取得の必要性やバックグラウンドの有無が強く問われる仕事というわけではありません。それよりも、先ほど申し上げたようなマインドを持ち、トヨタの方針に共感してくださることのほうが重要だと思います。熱い想いを持ってトヨタ知財の立場から世界を相手に戦いたいと感じた方は、ぜひトヨタの門を叩いていただけると嬉しいです。

※ 記載内容は2023年10月時点のものです

クルマ開発とは

未来のクルマを創造するための先端研究や先行開発、そこで生まれた技術を製品に仕立てる製品開発を担当しています。自分たちが新しい未来を想像して描く。常に新しいものを考えて生み出す難しさと魅力がここにはあります。

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